泳いで目指すは憧れのユートピア

音楽、イラスト、絵画、ダンス、映像など、あらゆるジャンルのアートや技術が結集した、唯一無二のアート展を作りたい。

pick up music#2(以下、記事参照)で紹介した、現役大学生の3人組からなる「ハシビロコウズ」というバンドがそう語ってくれた。

海中を彷徨うような独特で幻想的な世界観を作り出すハシビロコウズ。

学生でありながら、ただひたむきに、そして真剣に音楽と向き合う彼らは一体何を目指しているのか。

ずっと聞いてみたかった「彼らが目指す場所」。

今回は八景島の水族館にて、彼らにインタビューをさせてもらった。


Q:今日は遠いところまで来ていただいて、本当にありがとうございます。早速ですが、今のハシビロコウズ の活動状況を教えてもらえますか?

先日、5曲入りの2nd EP「デジタルアルバム」をリリースしました。昨年の初リリース作品である1st EP「ヒエラルキーシリーズ」では、海中遊泳や宇宙旅行のような幻想的で独創性のある楽曲を作りましたが、2nd EPではハシビロコウズ の独創性は残しつつも、一変してノリやすい歌物の楽曲を中心に構成しています。たくさんの人に聴いていただけると嬉しいです。

7月は自主企画イベント「Eartharium」の開催、8月はダンサーとのコラボイベントへの参加、9月はTSUTAYA O-Crestにてオーディションライブへ参加するなど、ライブ活動も息を吹き返しています。情勢的にしっかりと配慮するべき対策は取りつつも、少しずつ活動本数も戻ってきていますので、これからも積極的に活動していこうと思っています。

少し前にはなりますが、MVも1本制作しましたし、Tシャツなど制作グッズを販売するECサイトも立ち上げたりと、やれることは何でもチャレンジしてみてるところですね。


Q:3人とも大学生である中で、ライブ活動本数も多くこなし、音源制作の質にもこだわり、しっかりとプロの手をかけてMVも制作している。正直、経済面の負担もある中とは思いますが、なぜそこまでパワーをかけているんでしょうか?

多くの人々に自分たちの音楽を聴いてもらいたいから、というのがシンプルな答えです。でも、多くの人々に聴いてもらいたくても、どうすればそれが実現できるのか正直わからないんです。難しい時代だとも思ってます。だからって少しやってみて、ダメだったねってそれは悔しいだけ。思いつくことは全部やってみて、1つ1つできる限りのクオリティを追求して、がむしゃらにでもチャレンジしてみる。まずはそこからかなと。

インターネットの加速でコンテンツを届けやすくなっていると同時に、楽曲も無数に溢れているこの時代、1つ1つのコンテンツの消費時間が短い今だからこそ、敢えてクオリティに妥協せず音源を制作しないと見向きもしてもらえないと思ってます。だから音源は一生懸命作るし、お金もかける。

MVも同じです。YouTubeが民衆の生活基盤になっている今、動画コンテンツも妥協せずに制作して、せめて自分たちの満足いくものをアップロードする。そしてライブも同じく、一生懸命に練習して出演する。もちろん至らぬ箇所がまだまだ多く、多くの方にフィードバックをいただきますが、それでも自分たちなりに頑張って仕上げてライブに挑んで、そして反省する。できることを全部一生懸命やってみて、それでも本当に思うような前進ができなかったら、それはぞれで良い経験として捉えて、本気で次を考えることができると思ってます。


Q:ありがとうございます。やれることは一生懸命やる。まずはそこから。何事でも見習うべき姿勢だなと思いました。もう少し深掘りさせてもらいたいのですが、多くの人々に聴いてもらえた後のゴールはどこにあるのでしょうか?

僕たちは音楽だけではなく、イラストや絵画、ダンス、演劇、プロジェクションマッピングなど、あらゆるアートが集結した非日常の体験空間を作りたいんです。そしてその空間を多くの人と共有して、一緒に感動したい

そのためには、多くの人々に期待してもらえる存在にならないといけないし、協力していただける方々との繋がりも作らなくてはいけない。だからこそ、音楽を作って聴いてもらうとか、ライブをして体感してもらうとか、できることからやるしかないから精一杯やってます。

2018年に六本木の21_21 DESIGN SIGHTにて、「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」という企画展が行われていました。自分たちがずっと憧れていたことと同じようなことに、実際にチャレンジしている人たちがいたわけです。大きなスクリーンに投影されている映像が、生演奏と完璧にリンクして、音だけではできない、映像だけでもできない、全く新しい空間が作り出されている。僕らも僕らなりの音楽と映像とパフォーマンスで、現実なんて忘れてしまうような魅惑的な空間をデザインしたいと夢見ています。


Q:なるほど、音楽や映像やあらゆるアートが結集して作り出される、ハシビロコウズならではの空間をデザインしたい、と。目指すものとして、とても意外な印象でした。何か憧れるきっかけがあったのでしょうか?

そういった空間に出会って感動したとかではなく、自然と憧れをいただいて過ごしてきたというイメージですね。すごく些細だけど、1つ1つ大事な感動体験を繰り返してきただけなんです。

例えば映画やゲームのサウンドトラックとか、劇中の挿入歌とか、いわゆる劇伴が好きです。ドラマでも、アニメでも、ここぞというシーンで流れる音楽は、音楽だけでは叶わないようなレベルの感動や興奮を与えることができます。そして見た人の記憶に深く刻まれて、後々も「あの作品のあのシーンはすごい良かった」などと心に残り続けるものになる。幼少期からそんな小さな感動体験を繰り返して過ごしているうちに、自然と憧れていました。

じゃあ音楽や映像やストーリーなどを駆使して、マルチアートでの作品を作ろうとしても、自分たちだけでは全てできない。時間も足りないし、技術もない。唯一できるのが音楽だったからバンドをやっているだけ。なので、できる活動を一生懸命やって、チャンスを掴みたいし、多くの人と繋がりたい。そしていつか必ず、憧れた空間をデザインしたいと思っています。あ、もちろん音楽は仕方なくではなく、大好きだからこそやっていますよ笑


Q:ありがとうございます。憧れ続けた世界、ぜひ実現してほしいと願っています。これから社会人というステージも見えてきますが、どのように夢を追いかけ続けますか?

大学を卒業したら、しっかりと働く選択肢は持っています。音楽を仕事にできるなら、それはそれで嬉しいことです。ただ、会社員になって働くでもいいと思ってます。仕事であれ、趣味であれ、音楽活動が人生になくてはならない存在であり続けるのであれば、それで十分です。社会人になれば、経済面でできることも増えるでしょうし、やれることをやっていくスタンスは特段変わることはないと思います。

ただ、時間がある今だからこそ、直近1〜2年は無我夢中で挑戦したいと思っています。1つの節めというか、勝負の期間かなと。先々はできる限り見据えたいけど、見えないことを考えすぎても時間がもったいない。まずは今与えられた時間の中で、とにかく一生懸命に活動してみる。結果がどうであれ、ここから生まれてくる経験は社会に出ても活きるものだと信じてますので、残された貴重な学生生活を余すことなくチャレンジしていきます。


いつか実現したいと、夢の中の桃源郷を目指して旅する3人。

そのためにできることはやるし、できる限り一生懸命やる。

それは若さゆえか?

いや違う。人の持つ探究心や憧れ。そこに向かうひたむきな心を見た。

自分自身も感化されつつ、3人の夢が叶う日まで見守りたいと強く思った。

尊い日々に、4人と音楽

Mellow Days

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