顧客体験としての音楽のあり方

音楽が人々へ届くルートは大きく2つある。(と勝手に思っている)

1つ目は直接届くルート。作り手が制作した楽曲が、あらゆるパッケージを通して直接人々へ届く。カセットやCDの販売、SpotifyやApple Musicでの再生、YouTubeでのMV再生、ライブ来場など。そこにはアーティストの思いが込められた素晴らしい作品の数々があり、それを届けることで人々は日々音楽を聴いて、ライブで感動する。

少し見方を変えてみると、世の中はこの直接ルートに集中している。素晴らしい作品を作るアーティストが多いのは素晴らしいことだが、良い作品を作ることから考えているケースが多いような気がしている。

そこで2つ目のルートである間接的に届けるルートに着目する。直接届けるルートは受け手が限定されているケースも多い。平たく言ってしまうと、音楽(またはアーティスト)が好きな人を中心に届いている。しかし、ライブに自ら行くことはないけども、生の音楽にたまたま出会ったら、実は多くの人々が幸せな気持ちになると思っている。そういった大多数の潜在層にも音楽の良さを感じてもらい、幸せになってもらうには間接的に届けるルートが必要かと思う。

想像してみる。例えば今の時期、桜の綺麗な公園に訪れた時に、和楽器の演奏があったらどうだろうか。季節の風情が一層引き立って、どこか和の情景にもっと心が引き込まれる。

他には美術館など。ヨーロッパ16~20世紀の絵画の展示があったとする。順路に沿って時代を進むように展示された絵画と合わせて、16~20世紀にヨーロッパで親しまれた音楽をクラシック奏者が演奏していたらどうだろうか。ヨーロッパの世界にもっと深く浸り、異世界を遊覧するようなタイムトラベルツアーを楽しめる。

別の角度としては、例えば和太鼓による体験型のワークショップ。和太鼓は初心者であっても誰でも音が出せ、尚且つ複数人で一緒に演奏ができるという強みがある。ご年配の方々がこの和太鼓で体を動かし、リズムに合わせて、またメンバーと合わせて演奏することで、脳が活性化されて、認知症などの生活習慣病を防止する効果があると立証されている。これは音楽を媒介とした社会課題に対する取り組みであり、社会にとって必要な1つの音楽のあり方だ。

このような間接的に届けるルートは、音楽を届ける発想ではなく、人々が来る場所や必要としている物事に対して、最適な音楽の形を用意するイメージであり、日本のより多くの人々が生活の中で音楽による幸福度を上げていくことに繋がると考えている。そして多くの人々が音楽の大切さを今以上に感じ始めることで、日頃の芸術における需要が増し、アーティストが活動できる幅が広がることに繋がっていく。

自治体や企業が芸術家に資金面での支援をすることも増えている。それ自体はとても大切なことだが、もっと日常における芸術のあり方を広げて、受け手の感受性を高めることにも取り組んでいくことで、芸術で溢れる幸せな日常をもっと増やしていけると思う。

上記の思いから、2021年2月に遊覧座(ゆうらんざ)を旗揚げした。

遊覧座
設立:2021年2月1日
事業内容:音楽による顧客体験の提供
 ①リアルイベントのプランニングパートナー事業
  遊覧座(https://yuranza.jp/
 ②音楽を活用したメッセージング動画制作事業
  遊覧座studio(https:studio.yuranza.jp/

「音楽で人々を幸せにする」をモットーに、あらゆる施設、自治体、企業と連携しながら、音楽を間接的に届けるルートを創り出していく。

音楽は人の心を動かす。それをもっと多くの人々に日常的に実感してもらえるチャンスはたくさんあるはず。コンテンツありきの音楽ではなく、社会や顧客が必要としていることを追求して、そこに対する音楽での新しい形を提供していきたい。

愛されるHip Hopを目指して

「自分にしか見えない景色を音にしたい」谷本 早也歌 インタビュー

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