サブスク時代の先へ

これからの時代は生活に溶け込める音楽が聴かれるという話。

レコードやCDを購入して音楽を楽しんでいた時代は、自分で聴く音楽を選んで、そこにお金をかける。何枚もアルバムを買うお金はないので、大切に音楽を選ぶし、一度買った音楽はどんな時でも大切に聴き込む。音楽そのもののコンテンツ価値が高くなる。それを所持する喜びも大きい。

今の時代は少し変わってきている気がする。世界はすでに、SpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスが主流になっている。日本はまだCDの文化が残るものの、徐々にシフトしているのは間違いない。そんな風潮の中で、音楽を作って聴いてもらう立場になってみて、自分も含めた人々の音楽の選び方が変わってきていると感じる。

サブスクリプションサービスの時代は、意識として音楽コンテンツにお金を投じていない。SpotifyやApple Musicといったサービスプラットフォームにお金を投じている。毎月の利用料を支払って、大半の音楽を手に入れる。もちろん聴くことでアーティストにお金も還元される。サブスクリプションサービスが悪いなんて思ってはいない。ただ、これによって音楽コンテンツの選ばれ方に変化が起きている気はしている。

サブスクリプションサービス上では、いつでもどこでも大半の音楽が聴けてしまう。このCDを買ったからもうお金がなくて、こっちの音楽は聴けない、とかはない。全部聴ける。なので、1つ1つの音楽コンテンツの価値を感じるというよりは、手元ですぐに様々な音楽が聴けるという“状態”に価値を感じている。そんな状態の中で選ぶ音楽は何か。どんなアーティストでも気軽にプラットフォーム上に配信できるようになり、音楽コンテンツ量も莫大に増えたこの時代に、どうやって音楽を選んで聴いているのか。それは、その音楽がどれだけその人の生活に溶け込めるかが重要なのではないかと思う。

モノ消費からコト消費へシフトしている今、なかなか売れない絵本があった。小さな子供がいる親以外には全く売れない。当たり前。生活にその絵本は必要ないから。ただ、それだけ。すると絵本の世界を体験できるテーマパークを作った。そしてそのテーマパークの出口に絵本を並べた。テーマパークには小さな子供連れの親以外にも多くの人が集まった。すると様々な人たちに絵本がたくさん売れた。これは面白くて、最後に買っているのは絵本ではない。絵本という形をした、テーマパークでの体験を思い出せる”思い出“を買っている。人々の生活に“思い出”は必要なものだということ。

音楽も同じ。ただ良い音楽を作っても誰にも価値を生まない。朝のリラクゼーションとか、昼のモチベーションアップとか、夜のエモーショナルとか、その人の生活に溶け込めて、その人と一緒に過ごせる音楽が価値を生む。仕事がすごくはかどる音楽でもいいし、故郷を懐かしめる音楽でもいい。その人の生活のルーティーンにどれだけ溶け込むことができるか。それが重要な時代な気がしている。

Good Morning

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